整理と雑記

気が向いたら書く

「あい」と「し」がリリースされた頃

GOMESS、というラッパーがいる。彼のことを書き留めておく。

はじめに言っておくと私は彼の熱心なファンではない。曲もリードトラックと他数曲ほどしか知らないし、ライブには今年初めて行った。所謂にわかファンである。

私がGOMESSを知ったのは2014年のことである。大学の先輩からLOW HIGH WHO? PRODUCTIONというレーベルに居る奴らが格好良いのだと言われた。その時に知ったのは確かGOMESSの他にdaoko、不可思議/wonderboyがいたことは記憶にある。未だに彼らの曲を聴いている。

私が聴いたのは「人間失格」。1stアルバム「あい」に収録された曲だ。言わずと知れた彼の代表曲である。当時の私はヒップホップというものに無関心だった。彼のバックボーンについても話を聞いたが、そういう人もいるのだなと思ったくらいの印象だった。「My name is GOMESS 人間じゃねえ」と「人に紛れて」というフレーズが印象的だったので名前は覚えていたのだけど、その存在は記憶の片隅に追いやられていった。

www.youtube.com

その後、何年か経って2016年。私は「LIFE」という曲を聴いた。2ndアルバム「し」の収録曲である。「し」のリリースから随分経っていた。そこで歌われていたのは、解離性人格障害にまつわる彼の体験談だった。*1

最初にこれを聴いた夜のことは良く覚えている。私は彼が何を言っているのか分からなかった。私は何時間かかけてこの曲を聴いてみた。何度も聴いて、歌詞を文字に書き起こしてみて、何度も読み直してみた。それでも全く分からなかった。気付いたら朝になっていた。私がそうしたのは怖かったからのだと思う。彼が怖かったというより、何も共感できず理解もできない、ということが何だか怖かったのだ。何故この曲に限ってそう思ったのかは未だに良く分からない。

www.youtube.com

それからまた何年か経って2018年。仕事で多忙を極めていた私は精神を痛めた。疲労感とは違う異変に気付いた時「なるほど。私はおかしくなっているのだな。」と思った。

異変、というのはこれまで感じたことがないほどに怒りに包まれる、というものだった。想定外の状況に遭うと瞬間的に頭に血がのぼるようになった。仕事中はそのイライラが表面化しないように気を配る必要があった。

怒り、と言ったがそれは特定の誰かに向けられたものではなかった。しかし、それが誰かに向けられてしまう瞬間がくるような気がして恐ろしかった。当時は感情のコントロールが難しかった。

私は社会人として生きるための機能が損なわれた、と思った。私は心療内科に通い始めた。医師からは「適応障害」だと診断された。

心療内科に通い始めて2回目か3回目の通院の日、私は「LIFE」のことを思い出した。久しぶりに聴いたそれを私は冷静に受け止めることができた。その時に考えていたのは「自分が別の何かに変わっていくことが恐ろしい」と私も考えていたな、ということだった。精神状態が異常をきたしてしまうことのは自分が想像していたよりも怖いことだった。相変わらず彼の抱えている痛みを理解することはできなかったが、その点だけは共感していた。そういう経験を経て私はGOMESSというラッパーに興味を持ち始めた。彼が何を言ってるのか、何を言いたいのかが気になるようになった。

その後、環境を変えるために仕事を辞めてしばらく家に引きこもった。程なくして適応障害は治ったと思う。何をもって治ったというのかは良く分からないのだけど、働けそうだなと思って働いてみたら大丈夫だった。ある違和感は残ったままだけど。そうこうしている内にいつのまにか2019年になっていた。