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安曇祐介に対する誤解【打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?】

2017年8月19日に公開された映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の登場人物「安曇祐介」について書いていく。

私が最初に見たのは映画版であったが、島田典道、安曇祐介、及川なずなの関係性を読み違えてしまっていた。

原因は安曇祐介の行動が不可解に思えてしまう点にあったように思う。

映画版での安曇祐介

映画版での安曇祐介の行動と私の印象を書いていく。

1週目

1週目の世界で祐介が行った行動は以下になる。

  • なずなを見ていた典道に対してなずなを可愛いと思っていること、告白の意思があることを伝える
  • プールにて「ウンコがしたくなった」という理由で典道となずなを2人っきりにする
  • 50m競走の賭けでなずなの告白を提示するも「冗談だよ、なずな取られたくねえんだよお前」と発言する
  • なずなに花火大会に誘われるも、典道に断りを入れるように依頼する
  • 花火大会の約束を断る理由を詰められ、なずなへの好意を否定する

私は祐介のなずなに対する好意は憧れの領域であり恋慕とは程遠いものと思っていた。

彼の行動は典道のなずなに対する恋慕の感情を気付いてお膳立てをしているように見えた。

2週目

2週目の世界では祐介の印象が一変することになった。

  • 典道となずなが家から逃げ出す場面を見て怒りを覚える
  • 典道へ交際の有無を確認する
  • 祐介に気を遣って言葉を詰まらせる典道に対して「マジうぜえお前」と発言する
  • 茂下灯台にて2学期になったらなずなに告白することを典道に宣言する

祐介の行動・言動は一転して攻撃的なものとなった。

なずなに近づいた典道に対して敵意剥き出しである。

この時点で1週目での彼の行動が不可解なものに思えてきた。

3週目

3週目の世界で祐介の行動はより過激なものになる。

  • 電車で典道となずなを見かけ、怒鳴りながら追いかける
  • 茂下灯台で典道となずなを突き落とす

彼は典道のなずなに危害を加えた。

典道が時間遡行できなければ2人は死亡していただろう。

祐介がかけおちに臨んでいた2人に対して殺意があったとまでは思わないが、茂下灯台で衝突する危険性を判断できないほど頭に血が上っていたのは間違いない。

4週目

4週目においては祐介は典道となずなの2人と出会うことはない。

彼の気持ちを知ることができるのはもしも玉が映し出した彼の願望である。

  • もしも玉が「祐介がなずなと一緒に花火大会に行っている様子」を映し出す
  • 茂下灯台にてなずなが好きであることを叫ぶ

もしも玉の映し出した彼の願望から1週目でなずなのデートの誘いを断ったのは彼の本意ではなかったことが分かった。

小説版での安曇祐介

私の誤解は1週目の世界での彼の行動を勘違いしてしまったところが大きいように思う。

小説版ではこの点が補完されているので誤解は概ね解消された。

以降は小説版のみの描写を列挙する。

隠し撮り

祐介はスマホでなずなを隠し撮りしてフォルダーにまとめている。

中学に入ってから祐介は、あからさまになずなを意識するようになっていた。
スマホで隠し撮りした写真をフォルダーに集めていて、毎晩それを見ながらでないと眠れないと言われた時はちょっと引いたが、本当はそのフォルダーを全部送って欲しかった。
引用元:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(角川文庫)

祐介の好意はなかなか気持ちの悪い領域に達している。

便意

祐介はプールで唐突にトイレに行くのだが、それは彼特有の癖が原因である。

目の前で想定外の出来事が起こると便意を催すのは、幼稚園の頃から全く治らない祐介の癖だ。
いつだったか、サッカーの試合でファールをくらい、PKを蹴ることになった時も祐介は審判のホイッスルの音と同時にトイレに走っていった。
引用元:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(角川文庫)

プールでトイレに行ったのはなずなとの遭遇に動揺したためである。

牽制

典道と祐介はプールで賭けを提示した後に以下のような会話を行っている。

「今、なずなとなんか話してたろ?」
飛び込み台に上がりながら鋭いツッコミを入れてきた祐介の目は、ゴーグル越しだったが、マジだった。
「いや、何にも話してねえけど……」
「お前も好きなのかよ?」
「はあ?なに言ってんのお前?」
引用元:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(角川文庫)

祐介は典道もなずなに好意を持っているのではないかと疑っているものの確信があるわけでもない。

また、典道もなずなに好意を持っている場合は対抗する意志が明確に感じられる。




映画版では小説版からいくつかの場面が省略されており、意図が読み取れない描写が少なくない。安曇祐介はその影響を特に受けていたのではないかと思われる。




以下はKindleへのリンクである。

Kindle

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫)

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫)

少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)

少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)